坂野上 貴宏BLOG(K's MUSIC)

K's MUSICの坂野上 貴宏がドラムや音楽について発信していきます♪

練習場所

最近、音楽スタジオも新型コロナによる営業自粛で、個人練習もできなくなっているそうだ。

「ドラムの練習場所がない、、、。」

生ドラムは音の大きさから、色んな楽器の中でも練習場所に困る代表格かもしれない。

 

僕がドラムを始めた15歳の頃、僕もドラムを練習する場所には困っていたことを思い出す。

 

幼なじみのギタリストから誘われ、中学生でいきなりバンドを始めた僕は、幸運にも近所の先輩から生ドラムを貸してもらえた。

 

幼なじみの家が神社だった事もあり、バチあたりにも、神社でバンド練習をしていた。

 

昼や夕方の早い時間、苦情が来ないギリギリの範囲で練習していた。

始めた数日は、訳もわからず夢中で叩いていたが、当たり前だが、個人練習をしないと曲が成立しない。

 

普段からもっと練習しなきゃ!

家では絶対叩けないし、、、近くにスタジオないし、、、

そう悩んでいると、友達が「練習パッド」というものがあると教えてくれた。

 

練習パッド?何それ?

どうやらドラムほど音が出ないから家で練習できるものらしい。

当時はインターネットもない時代。頭の中で練習パッドというものを想像した。

 

家で練習できるなんてすごい!ほしい!

そう思った僕は、早速、家から電車で1間かかる楽器屋さんに向かった。

 

福井の田舎だったので、最寄り駅まで、自転車を30分くらいも漕ぐ。

最初に登り坂が来て、後に下り坂が来るので、着く頃はスピードも乗っていつも気持ち良かった。

 

電車も地方のローカル線なので、混んでない時間はたった一両だけしかない電車だ。

 

始発駅なので一両の車両でも座れた。

練習パッドってどんなものなんだろう?と、色んな想像をしているとあっという間に目的の駅に着いた。

 

確か、駅から3分くらいのマクドナルドの隣にCDショップがあって、その地下が楽器屋さんだったはず。

そんな記憶を頼りに、いざ地下に階段を降りて行くと、中学生は誰もいなくて大人の人ばかり、、、

僕だけが妙に浮いている。

 

しばらく店内を見渡していると、挙動不審な僕を見て、店員のお兄さんが「何か探してるのー?」と声をかけてくれた。

「ドラムの練習パッドっていうのがあるって聞いたんですけど、、、」

すると、店員さんは3つの練習パッドを紹介してくれた。

どれも試打ができなかったので、一番音が静かなものを下さいと伝えた。

会計が終わると、「高校生?」と店員さんに聞かれたので、「中3です。」と答えると、「中学生なの!?でかいなー!」

当時すでに身長が183くらいあった僕は、「身長何センチ?」「何かスポーツやってる?」と聞かれるのがデフォルト。その時もそんな話をしたのを覚えている。

(この質問をされるのは、今でもデフォルトだ。笑)

 

中学生がドラムをやってるのを嬉しく思ってくれたのか、とても好意的に接してくれて、初めて行く楽器屋さんに緊張していた僕はだいぶリラックスできた。

 

楽器屋さんを後にした僕は、「これで練習できる!」そんなワクワク感に満たされながら、電車に乗り、自転車で家に着くなり、練習パッドを箱から出し、早速叩いてみた。

 

「え!?こんな音なの??」

 

当時、生ドラムしか叩いた事のなかった僕は、正直味気ない音だなと思いながら、しばらく叩いていると、すぐさま家族から、「うるさい!」と言われてしまった。

 

せっかく買ったのに、使えるのは家族が誰も家にいないほんのちょっとの時間だけ、、、

せっかく練習パッドを買ったのに家で練習ができなくて困ってしまった僕は、

とりあえず好きな曲をヘッドフォンで聴きながら、今で言うエアードラムのような事をやり始めた。

なんでそんな事を始めたのか、自分でもよく覚えていないが、無意識に始めていたのだと思う。

スティックを持って、椅子に座って、フットワークは床を踏むと、うるさいと怒られるので、踏んでいるつもりで、、、。

 

当時、そんなことでも練習するのが本当に楽しく、練習してるというより遊んでる感じ。

それでも夜中までやっていると、イスのギシギシする音に「うるさい!」と怒られてしまうのだった。

 

とは言え、このヘッドフォン訓練で、簡単なエイトビートは、ずいぶんまともになった。

しかし、初心者過ぎて、少し複雑になってくると途端にできなくなる。

頭の中のイメージがある分、自分のドラムがとても気持ち悪かった。

やっぱりスティックでなにかを叩いて練習しなきゃダメだ、、、

そう思っていたある日の夜、家の目の前が海だったので、練習しようと行ってみたが、日本海の海岸は崖だらけで、足場が悪くてとても練習なんかできない。

海辺からとぼとぼ帰っている時、家から自転車で数分の場所に、とても大きな公園があったのを思い出した。

昔からよく遊んでいた公園だが、あそこならめちゃくちゃ広いし、民家も近くにない。

練習パッドぐらいなら叩いても平気じゃないか?

そう思って練習パッドを手に、すぐさま公園に向かった。

 

夜の公園は、人影もなく、シーンと静まり返り不気味だった。

しかし、そのおかげで、練習パッドなら問題なく練習できた。

 

その日から、学校から帰ると夜は決まってその公園に行き、次の日が休みの時には、夜遅くまでやっていた。

 

当時やっていたのは、バンドでやる曲のできないフレーズを、練習台でひたすら繰り返すという、とてもシンプルなものだったが、ドラムを始めたばかりなのでとても難しかったのを覚えている。

 

高校生になるまでの半年間、時間があればそこで練習していたので、色んな出来事にも遭遇した。

 

ある日、練習しているとおわまりさんが巡回にやってきた。

「何やってるの!?」

補導されるかも!やばい!!そう思いながら

「ドラムの練習です。」と答えると、

「へぇー!ドラム!バンドやってるの?頑張ってね!」

と応援してくれた。

 

中学生とバレなくてラッキー(笑)

 

別の日には、夜遅くまで練習していると、いきなり大音量で音楽が流れた。

どうやら時計台が、ある時間になると音楽が流れるようになっていたらしい。

それを知らなかった僕は、ビックリし過ぎて、スティックを落とし、イスから転がり落ちそうになった(笑)

いまだに人生で一番ビックリした出来事のひとつだ。

時計台から飛び出してくる鳩もホラーにしか見えなかった(笑)

 

週末には、車で来た何組ものカップルが、叩いている僕を見るなりすぐ引き返すという事もよくあった。

「お邪魔しちゃったな~ー`)

そんな心の声を発していた(笑)

 

他にも、真冬に行って、寒すぎて全然練習にならない事もあった(笑)

 

ドラムを始めた頃の僕は、思いつくまま、アホな練習ばかりやっていたものだ。

その練習にどれだけ意味があったかは分からないが、やる気だけは有り余っていたのは間違いない(笑)

 

練習場所の話から、ふと15歳の頃を思い出し、物思いにふける僕だった。

 

 

 

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